犯罪の瞬間を見た

私の部屋には鏡台がないのでたまにお母さんのを借りたりしてるのですが、その部屋には鍵がかかっているのです。
鍵は渡されているから問題ないんですけど。…そのはずだったんですけど。

今日学校に遅れそうで大慌てで支度していたらあろう事か鍵を部屋の中に置いたまま鍵掛けてバタン！
……閉めたあとすぐに気がついたが時既に遅し。
七つ道具とか持ってないのでどうやっても開きません。ヘアピンでそれっぽくガチャガチャしても開きません。
ああ！どうしようキーホルダーに鍵全部つけてるから自転車も乗れなければ玄関も開かないよ！！
と途方に暮れていたところに弟が帰宅。
神の救いとばかりに「鍵貸して！」と頼んだら「だったら開けてやるよ」とあっさり言われました。
しかし弟はその部屋の鍵を持っていません。「なに、ヘアピンでも使うの」と興味津々で覗きこんだ瞬間。

ガチャ。

………今までの私の悪戦苦闘ぶりが嘘のようにあっさり開きやがったのです。
「え、え？なに、どうやったの」
「コレ」
と言った弟の手には長ーい糸の通った針。
……………………………………あ、なるほど。
鍵穴じゃなく、大元の引っかかる部分に対しての攻撃。
そしてやはりあっさりとキーホルダーは私の手に戻り、なんとか学校を遅刻せずにすんだのでした。

めでたしめでたし。
…と素直に言えない私がここに。だって一回本気で窓からベランダ伝って部屋の中侵入できないかと思って窓枠にまで立ったのに。……すぐに思い直してやめましたが。三階から見る真下の地面は遠かった…！